意図的にスモルト幼魚を育てることができるのか?

はい、可能です。
スモルトの出現数増減は大きく3つの要因が影響します。

  1.  サクラマスを親とする卵から育てる(遺伝的要因)
  2.  餌
  3.  体サイズ(小さい方がいい)

 

 

育てる流れは

  1.  採卵(サクラマスの親から採卵できればベスト!)
  2.  受精
  3.  ふ化
  4.  ふ化した稚魚をイケスで育てる
  5.  スモルト幼魚の選別(7月くらい?)
  6.  適切なタイミングで放流(いつが一番いいんでしょうね。秋が多いのでしょうか。)

となります。

スモルト幼魚の選別は、体サイズをもとに行います。
また、適正な体サイズになるよう、餌のコントロールも行っていきます。

 

回帰マス連絡会伊藤氏の研究によると「サクラマスになるか?」「ヤマメになるか?」は夏至(6月21日)の段階で決定し、夏至における適正サイズは、体長(尾叉長)7.5㎝体重5g以下とのことでした。

8月20日を過ぎると一部の個体で銀毛化(後述します)が始まり、10月にはサクラマスとわかるようになります。

多くの個体では、秋分を過ぎると銀毛化が始まり、11~12月にはサクラマスと分かるようになります。

 

放流されたスモルト幼魚は、数日川に体を慣らしたあと、海へと下っていくそうです。

 

 

 

 

(参考)

サクラマスの亜種である、サツキマス(アマゴ)のスモルト化決定の主要因は体サイズであるとの論文が発表されており、よりサクラマスになる確率が高い幼魚を放流する上で、体サイズは非常に役立つ判断材料となります。

 

 体サイズは、給餌を意図的に減らすことでコントロールするので、「体サイズ」「餌」の要因は、互いに関係しあっているといえます。

桑田 知宣(2017)「アマゴのスモルト化決定の主要因は体サイズである」

 

写真1 銀毛化し始めたサクラマスの幼魚(2018年6月28日撮影)

写真2 河川残留が決定しているヤマメの幼魚(2018年6月28日撮影)